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動物ブログ

我々の身近な親友、犬、猫について(5)

日本の犬(1)

http://userdisk.webry.biglobe.ne.jp/011/413/25/N000/000/001/129085905515516116260_CIMG3056.jpg

少し長い前書き

サラブレット」と聞いて皆様は何を想像されるでしょうか?  殆どの日本人のかたは馬を思い浮かべると私は考えていますがどうでしょうか?

ところが正確には「サラブレット」とは馬の品種の名前では全くありません。正確には「サラブレット」では無く「ソロ ブラッド」でありこれはその動物が純血種である意味になります。馬を始め牛でも豚でも犬でも血統書のしっかりしたその動物はその祖先を辿っていくと特定の一頭の動物にたどり着いてしまいます。欧米での「サラブレット」はすべてこの一頭から派生した完全な純血種です。

ところが同じ様に血統書を持っている日本産の動物は牛でも犬でもその先祖は複数になり決して純血種では無い動物が立派な血統書を持っているという世界的に見た時にかなり奇妙な状態になります。これが日本人特有の動物に対する観念の根元になります。

日本以外の先進国ではこんな事はまずあり得ません。日本が先進国になった歴史は非常に古く室町時代の末期には日本は立派な先進国であり戦国時代の末期の日本の軍事力は間違いなく世界一でした。日本の歴史は長いだけでは無くその文明もかなり昔から非常に進んでいたのが事実です。

ところが「動物に関して」特に「家畜に関して」の日本の歴史はその他の先進国と大きく違います。例えば馬とラバとの一代雑種であるロバ、ヨーロッパやアメリカでは当たり前に使われてきた丈夫で粗食に耐え人間の役に立つこの動物を日本人は一度も使った歴史がありません。馬の使用法でも日本人は特殊です。鎌倉時代の侍が誕生した頃から馬は侍の乗り物としての家畜として飼育されてきました。これはヨーロッパも同様で騎士の乗り物は同じように馬です。しかし日本に馬車を用いる文明が歴史上に一度も登場した事はありません。平安時代の貴族の乗り物は牛車であり牛車など人間が歩くよりも遅いものであり実用的な乗り物とは全く違います。江戸時代の実用的な一般庶民の乗り物は籠であり皇族や武士であれば輿と呼ばれるものであり両方とも人間が人間を担いでいるだけのものです。日本人に移動の必要性が無かった訳では決して無く参勤交代の大名行列などは物凄い出費を伴うものでした。この大名行列にもロバも馬車も一切関わっていません。「ロバや馬車を使っては駄目だ」などという命令が幕府から出された事が一度も無いのにこの日本人の姿勢は世界から見れば実に奇妙です。ロバや馬車の存在については多くの知識人が知っていましたが一度も使われていません。

もう一つ、羊についても全く同じです。日本人の生活は狩猟民族から農耕民族に変わった歴史はあっても遊牧民族になった歴史は一度もありません。羊の存在など1000年以上前から知っていたにも関わらず見世物として輸入された歴史はあっても生活の道具として羊が輸入された事は長い歴史の中でも一度もありません。羊を育てる為の充分な環境があるにも関わらずです。

日本人の倫理観や動物に対する観念は他のどの国家と比べても独特であり極めて特殊です。今回のブログではまずはその謎解きからしてみたいと思います。したがってこの「日本の犬」というブログは複数回にせざるを得ません。欧米の人間と日本人とは何が違うのか? からまずは入っていきます。この第一回で「日本の犬」まで本格的にたどり着く事は出来ないと思いますが、これはこの次に書く予定のブログである「日本の猫」とも重なる大切な部分だと私は感じています。ご了承ください。とはいえ題名が「日本の犬」であるのですから今回のブログは「犬」を中心にして考えてみたいと思います。宜しくお願い致します。

欧米の犬と日本の犬との違い

「犬」という家畜が他のどの動物とも違うのはその品種の多さです。1873年に設立された世界最古で最も権威のある犬の血統書団体であるイギリスのケネルクラブでも100種類以上の犬が純血種として認められ血統書が発行されています。しかもケネルクラブの登録数は少ないほうでありアメリカケネルクラブジャパンケネルクラブでは登録されて純粋犬と認められているのはもっと数が多いのが実情です。「犬」の品種の多さとは他の動物のそれとは全く違います。体の大きさからその体型、毛の長いものや毛の短いもの、コリーの様に顔が長いものからブルドックの様に扁平な顔のもの、足の短いものから非常に足が長いものなど実に多彩でありこんな多彩な変化のある動物は家畜は勿論野生動物でも一つもありません。最小であるチワワの体重は1キロほどで最大であるグレートデンセントバーナードの体重は80キロを上回ります。80倍以上の差が生物学的に全く同じ動物にあり生理的には勿論この二種の雑種は確実に出来ます。チワワでもグレートデンでも祖先は同じ「犬」という一種の動物でありそれが人間の改良により分化しただけです。全く動物を知らない人でもこの二種類を間違える事はあり得ないほど分化されています。これが「犬」の最大の特徴です。

しかし私はこの「犬」の特徴を良い事であるように書きましたが実はこれがアングロサクソンである白人の残忍さの証明です。この登録されている犬種の中で日本産の犬以外の100種類以上の殆どすべての犬がサラブレットです。その最初の一頭が出来上がるまでに千頭から場合によっては数十万頭の犬がごみの様に捨てられ殺された歴史がある事を日本人として決して忘れては駄目だと思います。彼らにとっての犬とは「生き物」では無く「道具」でしかなく役に立たないものは確実に殺され捨てられてきた結果、今の品種の多い純血種がある訳です。結果として洋犬の能力は確かに優れています。猟犬で獲物を見つければポイントするからポインター、獲物を見つけてセットするのがセッターの名前の由来です。シェパードは英語で「羊飼い」の意味であり牧羊犬として改良されてきました。プードルの毛をカットするのは可愛く見せる為では無く水に落ちた鳥を拾いに泳ぎに行くのに毛が邪魔になるからです。ダックスフンドの足が短いのも同じです。ダックスとはドイツ語でアナグマの事でフンドは英語のハウンドでありダックスフンドとはアナグマ用の猟犬の意味です。犬に追いかけられたアナグマはすぐに巣穴に逃げ込みます。アナグマの巣穴は極めて狭く複雑な構造であり普通の犬では巣穴に入ったアナグマと巣穴の中で戦い巣穴からアナグマを引きずり出す事は不可能です。そこで立ったままアナグマの巣穴の中に入っていける極めて足の短い猟犬が必要になり改良されて出来たのがダックスフンドです。あの短い足は決して観賞用では無くアナグマ捕獲の為の武器です。ブルドックのブルとは勿論牛の事でありブルドックは牛と闘うために作られた闘犬です。牛に噛みついた状態でも呼吸が可能なように鼻がへこんで顎が突き出ている訳です。この白人の徹底した「人間の道具としての犬の改良」がヨーロッパに多彩な犬種を生み出しました。この動物に対する白人の姿勢は馬でも牛でも豚でも全く同じでありそれゆえにヨーロッパの家畜の殆どがサラブレットになっている訳です。

これに対して日本の犬はそんな悲惨な歴史を全く持っていません。結果として世界中にいる犬種の中で最も野生の人間に飼われる前の状態に近い犬は間違いなく日本犬です。日本人は1万年以上前から犬を人間の親友と位置付けて暮らしてきました。これは猫に対しても全く同じです。シェパードやシベリアンハスキーが野生種に近く見えるのはそう見える様に改良されてきただけであり日本犬とは全く違います。縄文時代の壁画に描かれている犬は現在の日本犬である柴犬や四国犬紀州犬と全く体形は同じであり、これは人類の歴史上奇跡に近い出来事です。ですから今でも純粋の日本犬は天然記念物に指定されています。「日本人と犬」との関係はどの国家と比べても極めて特殊です。

しかし日本人が犬の改良に不器用な民族であった訳ではありません。それは一つの品種の犬で確実に証明されています。

チンという犬種について

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チンという座敷犬をご存知でしょうか?  この犬は座敷犬として日本で改良された極めて座敷犬として優秀な犬種です。ヨーロッパで純粋犬として血統書が発行された最初の日本原産の犬であり英名は「ジャパニーズ スパニエル」と呼ばれてきましたがチンがスパニエルであった歴史は全くなく「ジャパニーズ チン」と改名されました。実はこの犬種こそが日本人の極めて優れた技術力を如実に表しています。

他の日本原産の犬と同様にチンはサラブレットではありません。チンの原種は現在のペキニーズ(北京で出来たのでこの名前が付いていますが改良したのはイギリス人です)と近い犬である事は間違いがありませんが性格もその改良の方法もペキニーズとチンは全く違います。座敷犬としてのチンの改良は平安時代の末期から数百年かけて行われてきました。チンの頭にある二つに分かれた黒い模様は侍の髷であり犬種で模様の出る箇所まで特定出来た犬は世界的にもまれな傑作です。この傑作を作る為の西洋のような残酷な仕打ちを全くチンは受けていません。日本人の技術力のすごさはこの犬一種で十分に証明できます。殆ど無駄吠えをしないおとなしい性格、座布団を出されるとその真ん中にきちんと姿勢よく座る態度は西洋人に侍の佇まいがどういうものであったのかを教えさせる非常に優れた犬種です。チンという名前自体が天皇陛下がご自分の事を「朕」と呼ばれている事から来ているとの説が有力でありこの犬種が極めて高級なものとして扱われてきた歴史を持っている事は明白です。「日本人と犬」との関係は人間に飼われだした当初から現在まで全く変わらず平和的であり野生種に極めて近い数種類の日本犬とチンという座敷犬を分化する事によって成り立ってきた極めて世界的に特殊な関係です。

あとがき

私は白人の環境保護団体や動物愛護団体を一切信用していません。その理由はここまでブログをお読みいただいた皆様であれば充分に解って頂けると信じています。この動物に対する白人の態度は家畜だけでは無く野生動物にも同じように向けられてきました。多くの現在保護していれば価値のある動物を次々と絶滅に追い込んだのはすべて白人の仕業です。これに対して日本では明治期まで大型の哺乳類や鳥類が絶滅した歴史が殆どありません。「日本狼が現存している」と主張しているかたが沢山いらっしゃるのは「日本狼が絶滅した理由」が良く解らない事が最大の理由です。ヨーロッパやアメリカでは懸賞金までついて大掛かりなオオカミ狩りを何度もやった事実があるのに対して日本では一度もこんな事は行われていません。明治に入ってから日本に狂犬病が持ち込まれ日本狼の間にそれが広がって絶滅したとの説が一般的ですがはたしてそんな理由で日本全土のオオカミが絶滅するものなのでしょうか?  歴史では奈良の狩谷口で明治末期に捕らえられたオオカミを最後に日本狼は姿を消していますが私は是非現在でもいて欲しいと真剣に思っています。

さて次回のブログですが今回の続きになります。「日本の犬(2)」で現在いる日本犬の遺伝子からその由来を歴史的に解明し、「日本人」と現在呼ばれている人種がどこから来たのかを「犬」という動物の歴史から私なりに解明してみたいと考えています。

宜しくお願い致します。