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超常現象を考える

大槻義彦教授に異議あり(前編)

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前書き

大槻義彦氏は早稲田大学理工学部教授、理学博士であり、テレビ番組でもよく超能力や超常現象の否定派として登場しているのでご存知の皆様も多いと思います。「火の玉現象」をプラズマが引き起こす現象であると科学的に証明された事でこの人の名前は一躍有名になりました。

実は私自身この教授を大変尊敬しています。小学生の頃、夏の夕方の夕立が上がった後の公園に犬の散歩に出かけていた私は目の前に光り輝く火の玉が通り過ぎるのを目撃しました。「火の玉」というよりも「光の玉」でありあれはいったい何であったのか不思議な思いでしたが、その後しばらくしてこの大槻教授の「火の玉研究」の発表がされて自分の見た超常現象のすべての謎が完全に解消されました。本当に感謝しています。

しかしこの人の超能力や霊に対する批判は「やりすぎ」としか思えない、中途半端に物理学を引き合いに出してすべて批判してしまう、これは無茶だと私は思います。プラズマ研究の第一人者である大槻教授が私よりも物理学の知識が無い事など絶対にあり得ない話であり、この人が物理学で超常現象を否定しているのは完全な確信犯だと思います。私も今後カルト集団やオカルト現象を否定していくブログを書いてくつもりですが最初に私のスタンスと大槻教授の姿勢は全く違うものである事を書いておかないと、おかしな誤解を生みかねない、ですから私が超常現象や世界の不思議な出来事を私なりの考えでブログに書く前にまずは(前編)(後編)に分けて大槻教授を徹底的に批判させていただきます。テレビで述べておられる事もおかしな理屈が多いのですが皆様にその根拠を探していただくのも困難になるので大槻教授の著書から批判させていただきます。

資料は悠飛社から出版された「冝保愛子の謎」と鉄人社から出版された「江原スピリチュアルの大嘘を暴く」の2冊です。ご興味のあるかたは是非取り寄せて読んでいただきたいです。この本は実によく出来ており私も書いてある事の8割以上は賛成出来るものでありなんの意義もありません。ところが残りの2割ほどとこの本を書いた大槻教授の意図、超常現象や霊を否定する考え方の根本が大槻教授のご専門である物理学から見ても明らかにおかしい。私自身も冝保愛子や江原啓之など全く信じていませんが、彼らを批判する大槻教授の根本概念が間違っているのであればまずはそちらのほうから批判しなければならないと考えています。資料がたった2冊であるのは少なすぎる観がありますがこの人が書いている著書の概念はどれも同じであり充分に2冊で足りると私は判断しました。今回の(前編)では超能力や霊に対しての大槻教授の根本的な間違いと「物理学」という学問のあり方を批判し、(後編)では大槻教授が超常現象否定に出してきた物理の法則とその論調の間違いを具体的に述べ、著書の中のどの部分がどう間違っているのかを細かく見ていきたいと思います。宜しくお願い致します。

オカルトブームは人類の科学の進歩を後退させるのか?

この2冊の著書に共通しているのは大槻教授がこれらの本を書いた動機です。最近のオカルトブームは青少年の学校で学んだ科学知識を後退させ科学の進歩を阻害し世の中に悪影響しか与えないので私はこの本を書いたとはっきりとおっしゃっています。

超能力や心霊現象は未科学では無く非科学であり絶対にこれを認める事が出来ないともはっきりと記述しておられます。一見ごもっともなご意見ですがはたしてそうでしょうか?

大槻教授が冝保愛子や江原啓之の個別の事項を持ち出してそれを科学的に批判していく事は有意義な事である(それでもおかしい部分は多々ありますがそれは(後編)で書きます)が実は科学の進歩を一番阻害するのがこうした一流の科学者たちの一方的な思い込みです。

具体的な例を申し上げましょう。皆様は風邪をひかれた時にビタミンCを取りなさいという言葉を聞いた事があると思います。ところが薬局で「ビタミンCは風邪に効く」との張り紙を見た事は少ないと思います。もし薬局にそうした張り紙があったとしても厚労省がその薬局の視察に行く時にはすべてその張り紙は外されます。現実にはビタミンCは確かに風邪に効きます。しかし現在の医学でそれを臨床的に証明し、何故風邪に効くのかを科学的に証明するまでは「ビタミンCが風邪に効く」というのは都市伝説でありなんの科学的な根拠もありません。

こうした「都市伝説」を科学的に証明した事例もあります。「秋田美人は肌が綺麗だ」という言葉は完全な都市伝説でした。ところがこの都市伝説を科学で証明した企業があります。化粧品のシェアの国内第一位に位置する資生堂です。資生堂は長い歳月と莫大な研究開発費をかけて何故秋田県の人間の肌が綺麗なのかを解明し、少し前までの秋田県の女性がコメの研ぎ水で顔を洗っていた事実に注目し、コメの研ぎ水から美白成分を検出して「ホワイテス」という美白剤を販売しました。この話は私が直接資生堂の研究員から聞いた話であり間違いはありません。資生堂の美白剤「ホワイテス」が高価なのは開発するまでに莫大な研究費がかかっているからです。この「ビタミンCは風邪に効く」「秋田美人は肌が綺麗だ」というのを大槻教授の様に「なんの根拠も無い都市伝説で非科学だ」と断定してしまったら科学の進歩はそこで止まってしまいます。

超常現象についてもこれは全く同じです。かつて大槻教授自身が「火の玉」を見た事から彼は「火の玉研究」を始めました。同じ様に現在解明されていない超常現象を経験している人はたくさんいます。その現象を一つ一つアカデミックに研究する事は大きな科学の発展に役立ちます。絶対にやっては駄目なのは「超常現象はすべて霊の仕業だ」とか逆に大槻教授の様に「そんなものは物理的に存在しない」と決めつける事であり、この事こそが人間の科学の進歩に深刻なダメージを与えてしまう事になります。人間の脳はテレビから入ってきた情報をそのまま受け入れるのでは無く、その真偽を判断して自分の考えにします。オカルト番組の放映は全く科学の進歩の阻害にはならないものであると私は考えています。

物理学という学問

大槻教授はこの2冊の本の中で冝保愛子や江原啓之の番組の最後に「この番組はフィクションです」とか「これは単なるショーなので、皆さんは、そのように考えて本気にしないように」というタイトルを入れる事を提案しています。

皆様はそんなタイトルが入ったオカルト番組を真剣に見ようとするでしょうか?

あり得ない話で絶対に無理な注文です。その代りテレビ局は「この番組で放送した内容はまだ科学的に発見されていない真実です」というタイトルも一切付けていません。つまり「番組の真偽は視聴者の皆様で考えてください」という事であり私はそれでなんの問題も無いと思っています。大槻教授は我々一般庶民の事を馬鹿にし過ぎています。我々は自分自身で考えて答えを出す程度の知能は持っています。

そもそも科学、その中でも物理学というのは定義があいまいな学問です。ニュートンが発見した力学はこの世界に実在するあらゆる事象を数字で説明していく科学です。摩擦係数や重力計算、物質の原子構造による重さの違いなどすべて自然現象を数学的に証明したものでした。ところが20世紀に入ってからの物理学は一人の学者によって革命的な変革を遂げます。アルベルト アインシュタインによる相対性理論の発表です。

現在の宇宙科学でも地球以外の星の大きさや重力、その星までの距離を測る作業にはすべてニュートンの発見した力学の応用で成り立っています。しかしニュートンの力学をいくら応用しても全く解らない事象が数多く出てきています。宇宙に開いた巨大な穴であるブラックホール皆既日食時に見られる太陽の空間のひずみ等は力学では絶対に証明出来ません。ニュートンの力学に対してアインシュタイン相対性理論が理論であり相対性力学に変わらないのは現在の物理学では相対性理論をすべて説明できないからです。しかしアルベルト アインシュタインの没後にも相対性理論に対する実証実験は何度も行われており、現在まで相対性理論と矛盾する結果が出てきた事は全くありません。光のスピードがどんな条件であっても絶対に変わらない事は車に付けているカーナビやスマホの地図検索で容易に証明出来ています。光速近くまで加速された粒子の寿命が延びる事も数年前に発表されました。相対性理論の証明は確実に近づいています。

この理論によると我々がこれまで学んできた相対速度の計算も間違いになってしまいます。50キロで走る車と60キロで走る車が水平にすれ違う速度は厳密には110キロでは無く109.999999999・・・となってしまいます。ではその公式である

T=√1-Ⅽ2/U2/T₀

というものを小学生から教えないと大槻教授の理論では嘘を子供に教えている事になってしまいます。

冗談ではありません。大学の数学科の学生がやっと理解出来るレベルの一般相対性理論の速度公式をどうやってはるかに小さな小学生が理解できるのですか、大槻教授

あいまいでいいんです。特に物理学はあいまいに覚えるところからスタートするものだと私は思います。円周率であるπの値は小学生では3、中学生になれば3.14、高校生になってからやっとπが無理数である事を教える現在の教育に何の問題があるのでしょうか。それとも大槻教授は小学生の理科の授業で先生が「これから私が教える事は真実ではありません」と子供に言わなければ日本の科学の発展が阻害されるとお考えなのでしょうか?

オカルト番組大いに結構、オカルトブームも偽超能力者も大歓迎、こうした世の中の様々な情報の中から人間は疑問を感じ、それによって科学も文化も進化していくという私の理論がおかしいというのなら大槻教授でも大槻教授の支持者でも私はいつでも議論に応じるつもりです。

あとがき

大槻教授はその著書の中でもテレビの討論番組でも「超能力や霊の存在が認められたら私はその時点で大学教授を辞める」と公然と言い「その為に辞表をいつも持ち歩いている」とも述べています。辞表や退職届を出した人はご存じでしょうが辞表も退職届にも絶対に必要なのは日付であり日付の無い辞表など辞表とは呼びません。

それでも「違う」と大槻教授がおっしゃるのであれば是非その辞表を大学に提出して大学をお辞めになってください。そうでなければ辞表をいつでも持ち歩いている事は自分の宣伝でしかありません。

通常の人間が大槻教授と同じ事を言っても私はここまで非難も中傷も絶対にやりません。東大卒の早稲田大学の物理学の教授が言っているから非難しているだけです。何も解らない一般庶民と違って大学教授の発言は世の中を動かし、人間の思考に影響を与えその後のその人の人生にすら関係してくるほど重い発言です。ですからそういう立場の他の人は自分の発言力の大きさを考えておかしな事は絶対に言わないように日常を過ごしている訳です。端的に言えば大槻教授の発言は冝保愛子や江原啓之よりもはるかに重い言葉です。だから私は黙って見過ごせないだけです。

それでは皆様、次回はこの大槻教授の言う物理法則の間違いと冝保愛子や江原啓之に対する個別の事柄についての間違いを出来るだけ解りやすく記述していく(後編)を書きたいと思います。宜しくお願い致します。